2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧
きょうりゅう あばら お 恐 竜 の肋 の下に春惜しむ 辻 美奈子 ■春惜しむ(4月ごろ) 春惜しむって、まだ春が終わってほしくないなあとい う気持ちを言います。4月の終わりごろが遠足シーズン。 恐竜の全身のほねのひょう本がおいてあるはく物館は、 全国…
しおひ がり あいず ぼうし ふ 潮干狩帰る合図の帽子振る 久染康子 ■潮干狩(4月ごろ) アサリ、ハマグリなどの二まい貝の身が太っておいし くなる春に、遠あさの砂はまで貝ほりをします。貝がと れてむちゅうになると、いつか家族とはなればなれです。 は…
げんぱつに き そび ま ぢか 原発二基聳ゆる間近さくら貝 北川英子 ■さくら貝(春) さくら貝が見つかる岸べに、きょ大な原子力発電所の たてものが並びます。大切な電気をつくりますが、地し んとつ波でかんたんにこわれて、近くに人も住めなくし たことを…
とお めがね 遠眼鏡百円分の春の海 松井志津子 ■春の海(春) 目の前に見下ろす海はおだやかで、船が行きかい、い くつも島がうかんで、橋がむすんいるかもしれません。 山の上のてんぼう台のぼう遠きょうに、100円玉を入 れてながめる春の海のけしきです…
しゅんみん い 春 眠の深海にゐて電話鳴る 掛井広通 ■春眠(春) 冬はふとんから出られなくてねぼうしていましたが、 春はいつも時間ぎりぎりまでぐっすりです。深いねむり のそこで電話が鳴るのを聞いています。ひょっとしたら 目ざまし時計の音かもしれま…
かんらんしゃ しゅんげつ ふ 観覧車に乗る春 月に触れたくて 堀口希望 ■春月(春) 色とりどりのライトで建物やふん水をてらし出したり、 夜空を花火でかざったり、遊園地のナイトショーは昼と はまたちがってドキドキです。観覧車が空に上ると、お 月さまが…
とちゅう しょう にじ はし 途中下車しませう春の虹の端 千田百里 ■春の虹(春) 電車、バス、乗り物に乗っていて虹の端っこ(足)を 見つけます。窓がじゃまして虹の一部しか見られなかっ たら、せっかくの幸せがだいなしになりそうです。早く、 早く、乗り…
さ お ひめ こし こ がね 佐保姫の輿かも黄金色の雲 田所節子 ■佐保姫(春) 春、遠くの山がぼんやりかすむのは、佐保姫という女 神がおるうすい布(ぬの)をかぶせるからだと言われま した。朝日にかがやくうつくしい雲が、きっと女神さま の乗り物にちがい…
ふ あら う さくらご ち 踏みながらジーンズ洗ふ 桜東風 高橋あゆみ ■桜東風(春) 昔、東風といえば春の風をさしました。東風と聞くと、 やっと春が来ると思ってうれしくてしかたなくなったん だと思います。もう思い切って、はだしでジーパンをふ み洗いし…
かぎろ え ざ とう と よ 陽炎へる氷砂糖の溶けるやう 小嶋洋子 ■陽炎(春) 野原やたき火の上、自動車の後ろがわで空気がゆらゆ らゆれるの見たことないですか? それがかげろう。ち がう温度の気体がまじると起こります。こさのちがうえ き体の間でもゆら…
ごと か と また ガリバーの如くに蝌蚪の水跨ぐ 森岡正作 ■蝌蚪(4月ごろ) 乗り組む船が嵐で転ぷくし、船医のガリバーが海に投 げ出されてこびとの国に流れ着きます。有名な「ガリバ ー旅行記」の第一話です。オタマジャクシの水たまりを、 大男になって一…
じゅん こ お 順を待つ目がぶらんこを漕いでをり 勝田公子 ■ぶらんこ(春) 子どもたちに大人気で、ぶらんこに乗るにはいつもま だかまだかと待たされます。目はさっきからずっとぶら んこの動きを追いかけて、空にぽっかりうかぶ雲を、何 度も両足でけって…
い 風船を待つてゐる子もふくらめり 辻 美奈子 ■風船(春) おかあさんかおとうさん? おじいさん? おばあさ ん? 風船をふくらませてもらっています。どこまで大 きくなるんだろう? 何して遊ぼう? 子どものわくわ くがふくらんではれつしそうです。
のきさき か え 軒先で風を乗り換へしやぼん玉 七田文子 ■しゃぼん玉(春) 日の光に色をかえながらくるくる回るしゃぼん玉を、 そよ風に乗せて空に放ちます。しゃぼん玉遊びは春らし い遊びです。屋根から上は、風向きがちがうのでしょう か、向きをかえて…
起さずに起きて一年生となる 松本圭司 ■一年生(4月ごろ) 何ということでしょう? これまで何度起こされても 起きられずに、いつまでもふとんの中でぐずぐずしてい たのが、まるで別人のよう。とっくに一人で服を着、顔 を洗っている、入学式の朝です。 *…